序論
従来、幾何学・宗教・物理学は独立の学問領域として進展してきた。ユークリッド幾何は「直線」「平行線」「固定的な三次元空間」という直観に基づき、西洋科学の基盤を形成した。他方で、宗教・霊的思想は「霊魂」「天界」「異次元的存在」を語り、物理学とは切り離されてきた。しかし、19〜20世紀における非ユークリッド幾何学の展開、アインシュタインの相対性理論、量子力学の誕生は、この二元性を動揺させる。空間は平坦でも固定的でもなく、観測は実在そのものを揺るがす。
本稿では、非ユークリッド空間、霊魂の情報存在論、量子力学の多世界的構造、そしてレイヤード・パラレルワールドを結合し、「見えない多層世界」の統合的モデルを提示する。
Ⅰ.非ユークリッド空間と多次元性
ユークリッド空間は人間の「視覚的直観」によって支えられたモデルである。しかしロバチェフスキーやリーマンが示したように、空間は「曲率」を持ち得る。つまり空間は一義的に決定されず、複数の位相を持ちうる。
相対性理論が「重力=時空の曲率」として世界を捉え直したことは、この非ユークリッド的多層性を証明した歴史的転換である。ここで重要なのは、空間が「唯一の容れ物」ではなく、「複数の重なり得る層」である可能性が開かれた点にある。
Ⅱ.霊魂の情報的基盤
霊魂は伝統的に「肉体から独立して存続するもの」とされてきたが、現代的には「情報の保持者」として再解釈できる。
記憶・意識・直感は、神経細胞の活動だけでは説明が尽くされない。むしろ、霊魂を「情報構造体」として理解するならば、これは非ユークリッド空間における「不可視の層」に配置される。
すなわち、霊魂は「見えないが重なり存在する空間的レイヤー」に棲み、その情報は量子的なレベルで世界と干渉する。
Ⅲ.量子と意識の相互作用
量子力学は「観測問題」を通して意識と物理の関係を露呈させた。観測によって波動関数が収縮するという問題は、意識が物理的現実の確定に関与する可能性を示唆している。
ここで「霊魂=情報構造体」が媒介として立ち現れる。霊魂は量子の不確定性と接触し、情報をやり取りする。
さらにエヴェレットの多世界解釈に従えば、観測のたびに「分岐した並列世界」が生成される。これらは互いに独立して存在するのではなく、非ユークリッド的空間において重層的に折り重なっている。
したがって、霊魂は「量子的パラレル・レイヤー」を横断する主体として位置づけられる。
Ⅳ.レイヤード・パラレルワールド仮説
ここまでの考察を統合すると次のモデルが浮かび上がる:
空間は非ユークリッド的である 曲率を持ち、位相的に多様であり、一義的ではない。 霊魂は情報的存在である 物質から独立し、情報を保持し、レイヤー間の「媒介者」となる。 量子は情報の最小単位である 重ね合わせと干渉によって、並列世界の基盤をなす。 レイヤード・パラレルワールド 複数の次元・世界は「並行して存在」し、霊魂はその重なりを横断し得る。
この統合モデルにおいて、霊魂は単なる宗教的メタファーではなく、非ユークリッド的空間と量子的情報をつなぐ「存在論的接合点」として理解される。
結論
本稿は、非ユークリッド空間・霊魂・量子・レイヤード・パラレルワールドを結びつける試論を提示した。
歴史的に、フロレンスキーが非ユークリッド幾何と神学を接続したが、量子論や情報論との統合はなされなかった。現代においては、意識研究と量子情報理論が進展しつつあり、霊魂を情報的存在として再定位することが可能となる。
したがって「霊魂は非ユークリッド空間のレイヤーに存在し、量子情報を介して並列世界を横断する」という仮説は、神学と物理学の分断を超える新たな統合的枠組みとして提示されうる。
坂口義典 2025 9/6
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