― 非ユークリッド空間、霊魂、量子情報論、レシオ的秩序を接続する試論 ―
1. 序論
人間はしばしば自己を「肉体」に限定して理解する。しかし肉体とは「三次元的環境に最適化されたモジュール」に過ぎず、意識や霊魂はその上位に存在する情報的・非物質的レイヤーに属している。
非ユークリッド幾何学は「異なる位相空間の可能性」を、量子力学は「多層的実在の同時存在」を示唆する。そして宗教的伝統は「世間虚仮」と語り、現実が仮象にすぎぬことを古来から洞察してきた。
ここにさらに「レシオ」という概念を導入する。すなわち、宇宙は絶対値によってではなく、比率(ratio)によって秩序づけられたスペクトル構造を持つ。この鍵概念を用いて、多層的現実を整理することを本稿の目的とする。
2. 知覚の制約とスペクトル的存在
肉体モジュールは強い制約を持つ。
視覚は 可視光スペクトル(約 380–780 nm) に限られ、それ以外の赤外線・紫外線領域は知覚できない。 聴覚は 20 Hz–20 kHz の帯域に限られ、それ以外の超音波・低周波は認識できない。
ここで重要なのは、光も音も「スペクトル」として存在し、それを決定づけるのは絶対値ではなく「周波数の比率(レシオ)」であるという点である。
例:オクターブは周波数比 2:1、五度は 3:2。この音楽的比率は宇宙の振動秩序と呼応している。光においても虹色の分布は、連続する波長比によって構造化されている。
つまり「世界」は連続的なスペクトルを持ちながら、肉体はその中の特定のレシオに制約されている。
3. 世間虚仮とレシオ的虚構
「世間虚仮」とは、仮象としての現実を意味するが、本稿ではこれを 「制約された比率によって投影された仮想現実」 と再解釈する。
我々が見る世界は、可視光スペクトルの狭い帯域比率を基盤に構築されており、聞く世界もまた音の比率に依存する。
したがって「虚仮」とは「比率的縮約の結果としての部分的実在」である。
4. 非ユークリッド空間と霊魂の比率的レイヤー
非ユークリッド幾何学は、直線の平行性や距離の概念が異なる空間を想定する。これを意識論に拡張すれば、霊魂は「異なるレシオに基づく空間」に存在する、と表現できる。
ここでのレシオとは、我々が知覚する 3D 空間における比率とは異なる、より高次の比率秩序を意味する。つまり、霊魂や意識は別空間に隔絶されているのではなく、異なる比率構造のレイヤーとして同じ場に重なっている。
5. 量子情報論と比率的縮約
量子力学において、重ね合わせ状態は「複数の可能性が同時に存在する」ことを意味する。観測はそれらを「収束」させる行為である。
この収束を「比率の切り出し」として捉え直すことができる。
観測とは、無限スペクトルから有限の比率を選択する操作である。 意識とは、その選択を可能にする「比率的フィルター」として働く。
したがって霊魂や意識は、量子情報の場から特定のレシオを切り出し、現実を構成する主体と位置づけられる。
6. 仮説モデル:レイヤード現実とレシオ秩序
統合すると次のような多層モデルが描ける:
物理層:肉体モジュール。可視光・可聴音という制約されたスペクトル比率。 情報層:量子情報の場。無限スペクトルが存在し、観測により比率的縮約が行われる。 霊魂層:非ユークリッド空間的レイヤー。異なるレシオ秩序で存在し、物質に依存しない。 全体性層:数理的レシオ(φ, π, e など)が宇宙の基盤比率として貫かれる場。
ここで「黄金比 φ」や「円周率 π」は単なる数学定数ではなく、宇宙のスペクトル秩序に刻まれた根源的レシオの表現とみなしうる。
7. 結論
人間の肉体は三次元を体験するモジュールにすぎず、可視光や可聴音の帯域制約は「比率的フィルター」として働く。
非ユークリッド空間や量子情報論の示唆を取り込めば、現実は多層的にレイヤードされており、各層は異なるレシオ秩序に基づいて存在する。
結局のところ、宇宙は絶対値ではなく「比率」によって編成されており、霊魂や意識はその比率的選択と調和の働きを担う。
すなわち「世界とは、レシオとしての宇宙の歌を聴くこと」である。
坂口義典 2025 9/6
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本記事の内容(文章・図・数式・独自用語を含む)は、筆者によって 2025年9月6日に公開されたオリジナルの研究考察です。
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