― 非ユークリッド空間、霊魂、量子情報論を接続する試論 ―
1. 序論
人間は自己を肉体に限定して捉えがちである。しかし肉体は「人間そのもの」ではなく、「地球上における三次元的モジュール」に過ぎない。すなわち、我々の意識や霊魂といった非物質的要素は、物理的肉体という端末を介してこの世界に接続されている。
近代物理学、とりわけ量子力学と非ユークリッド幾何学は、この「現実の多層性」に数学的・物理学的な暗示を与えている。一方、宗教的伝統においても「世間虚仮」「現世は仮の世界」という思想が繰り返し語られてきた。本論文では、これらを統合的に論じ、肉体・意識・霊魂・情報の多層的関係を「レイヤード現実」として整理する。
2. 肉体の制約とモジュール性
脳科学は、人間の知覚が入力情報のごく一部しか取り込んでいないことを示している。可視光は電磁波スペクトルの一部であり、赤外線や紫外線の先に広がる領域を我々は直接知覚できない。聴覚もまた20Hz〜20kHzの範囲に制限される。
この「知覚の帯域制限」は偶然ではなく、むしろ 地球的環境での生存最適化 という進化的要請に基づく。したがって肉体は、全宇宙を直接体験する装置ではなく、三次元世界を限定的に体験するための端末=モジュールとして設計されている。
3. 世間虚仮の再解釈
仏教における「世間虚仮」とは、現実は本質的に仮象であるという思想である。本論ではこれを、知覚制約に基づく 「限定現実」 の認識論的必然と解釈する。
肉体モジュールがフィルタリングするため、我々が「世界」と呼ぶものは、実在そのものではなく、情報処理後の縮約的モデルである。
すなわち「虚仮」とは単なる幻想ではなく、真実の全体性に対しての部分的投影 である。
4. 非ユークリッド空間と霊魂のレイヤード
非ユークリッド幾何学は、直観的には「我々が知覚する三次元とは異なる位相的空間の可能性」を示している。
これを意識論的に拡張すれば、霊魂や精神世界は「異なる幾何学的構造を持つ空間レイヤー」に存在する可能性がある。
ここで重要なのは、これらの空間が「別次元」として隔絶しているのではなく、同一の場にレイヤードして重なっている という点である。我々はただ、それを肉体モジュールの制約ゆえに直接知覚できない。
5. 量子情報論との接続
量子力学、とりわけ量子情報論は、意識と物質の接続を論じるうえで鍵となる。
量子重ね合わせは「多層的可能性の同時存在」を示唆する。 観測行為はそれらを収束(縮約)させる。
もし意識そのものが「量子的情報処理」と関わるならば、肉体を介さずとも霊魂や意識は 非ユークリッド的レイヤーに直接アクセスしうる。この場合、霊魂を「量子情報的存在」と定義することも可能である。
6. 仮説モデル:レイヤード現実
以上を統合すると、次のモデルが描ける。
物理層:3D肉体モジュール。制約された知覚帯域を持つ。 情報層:量子情報の場。意識・観測により波動関数が収束する。 霊魂層:非ユークリッド空間的な「異位相レイヤー」。物質に依存せず存在。 全体性層:多層世界の基盤。プラズマ的な場、あるいは「無限定の相」。
この多層構造を通じて、我々は「限定された虚仮の現実」を生きつつも、無意識や直観を通じて上位層の情報に接触しうる。
7. 結論
肉体は三次元世界を体験するための端末であり、世間虚仮とはその制約による必然的縮約である。しかし非ユークリッド幾何学の示唆、量子情報論の可能性、宗教的伝統の直観を統合すると、現実は多層的にレイヤードされ、肉体・意識・霊魂はその異なる階層を媒介し合う存在であることが示唆される。
今後の課題は、このモデルを 実証的科学と宗教的直観 の双方から補強し、量子情報技術や神経科学との接続をさらに深めることである。
坂口義典 2025 6/9
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